あくまで個人の雑感です。

思ったことを適当に。

『斉藤優里のアイドル寿命』はアイドルというものの存在理由を明確、かつ端的に示した名作だと思うわけで。

乃木坂46の17thシングル『インフルエンサー』の個人PV全45本。
先日ようやくすべて見終りました。長かった・・・。

45本もあるので、その中には当然面白いもの、面白くないもの、色々あったわけなんですが、その中に1本、面白い面白くないを超越して、僕の心の中に強烈に残った1本がありました。

Type-D、7番目に収録された斉藤優里さんの個人PV、
斉藤優里のアイドル寿命』です。


乃木坂46 斉藤優里 『斉藤優里のアイドル寿命』

-ある日、斉藤優里の頭上に突如現れた、およそ2年弱のカウントダウン。
それは、彼女が生業とする、アイドルとしての寿命を示すタイマーだった。
カウントダウンがゼロになった時、斉藤優里はアイドルとしての寿命を終える-
この映像は、そんな彼女の観察記録である。

・・・そんな設定で展開される、フェイクドキュメンタリーです。


このドキュメンタリーの世界の中では、斉藤さんのように頭上に今の仕事を終えるまでのタイマーが現れた人々が他にいるらしく、それらを観察し、経過を見る、という体の映像のようです。

タイマーが現れ、アイドルとしての寿命があと2年ほどと明示されても、最初は特に思うところはなかったという斉藤さん。
元々母親の勧めでオーディションを受け、自分から望んでアイドルになったわけでもなく、歌もダンスもイマイチ苦手。
選抜への加入も半ばあきらめ気味で、アイドルとしてのモチベーションを見失いかけていたようです。

しかし、そんな斉藤さんに、お母さんから『努力が足りないんじゃないか』という叱責が。
そんなお母さんに、斉藤さんは泣きながら反論します。
いわく、『舞台もライブも好きだからやっている』と。

その叱責の後、斉藤さんは減っていくタイマーの時間に抗うことを選び、レッスン場で一人、もくもくとダンスのレッスンに励みます。

そしてそのレッスンの後、斉藤さんのアイドル寿命のタイマーが、2年弱から3年弱へと増えたところで、このPVは終了します。


僕が大きく心に残ったのは、タイマーの時間に抗う斉藤さんの姿を見たことで、他のタイマーが現れた人たちの時間も増えていった、という描写です。

極個人的に、僕にとってのアイドルの存在意義は、『見知らぬ誰かの希望になる』ということです。
仕事はもちろん、日々の生活の中ですりへっていく誰かの心を癒し、明日も生きていこうとする『誰か』の希望になること。
それこそが、『アイドル』というものが存在し、そして僕が熱狂する意味だと思っています。

アイドルは傍目から見えるほど、華やかな仕事ではない。
辛いこと、悔しいこと、悲しいことも数えきれないぐらいある。
それでも、誰かが必要としていてくれる限り、誰かの希望でいられる可能性がある限り、アイドルは笑顔で歌い、踊り続ける。

このPVは、ごく短い時間の中で、それを端的に、強烈に、明確に示してくれたと思っています。

そしてその存在意義を、歌もダンスも苦手で、1期生でありながら、あえて言ってしまえば『不遇な境遇にいることの多い』斉藤優里さんが表現するということ。
それらすべてが混然一体となって、強烈な印象を残すPVとなりました。


この映像に出会うことができて、本当によかったです。